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ご報告。
第一回でご紹介した映画、気になってビデオを借りてきて確かめました。
「 謎の歌 」 は、やはり 「 アルモドバルとマクナマラ 」 によるものと判明。
曲名は 「 SUCK IT TO ME 」 ……だったかな。 やれやれですな!
さて第二回は 「 感動して泣いた映画 」 のお話。
……とは言え 「 筆者が泣けた映画 」 を列挙するのも野暮でしょうから、「 筆者の知り合いが泣いた映画 」 をご紹介して、さらに検証を加えてみようと思います。
僕のような素人が
「 あの映画サイコー! みんな観ろ! 」
などと推薦したところで、たいした文章にはならないからね。
だからこそ、 「 検証 」。 これが今回の要です。
どんな人間が、何を考えながら映画を観ているか……。
そこに思考をめぐらせれば、少しくらいは文章に読む価値を持たせられるかと思うのです。
最近ありがちな 「 好きな映画の紹介 」 に終始するレヴュー に 喝 をいれちゃうぞ!!
ケース1 : アルバイトの先輩H氏の場合
以前も書いたように、僕はビデオレンタルのアルバイトをしていたことがある。
そのアルバイトの先輩であるH氏のケース。
彼は非常に自己中心的で、自信家で、正直言って気に食わない男であった。
そのH氏が泣けた映画は 『 ニュー・シネマ・パラダイス 』 。
* 『 ニュー・シネマ・パラダイス
』
どんな映画関連アンケートでも、 「 泣ける映画 」 の筆頭にあがる名作。 ワシも泣けた。
監督はジュゼッペ・トルナトーレ。 (みたいな名前。 うろ覚え)
ワシの泣けるシーンその1は、主人公トトが都会に行くため、駅で家族やおっちゃんと別れるシーン。
おっちゃんはトトを立派な男にするため、こう言うのだ。
「 帰ってくるな……。 ノスタルジーに惑わされるな! 」
しかしこのおっちゃん、トトにとっては家族よりも誰よりも親しい、ノスタルジーのかたまりみたいな存在なのである。そいつが
「 ノスタルジーに惑わされるな 」
とか言うなんて……!
果たして、家族や愛する人が住む故郷を捨ててまで手に入れなければならないものがあるのだろうか?
ひとり暮しをしているワシは、なんだかサメザメと泣けてくるのであった。
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いい映画で泣くヤツがいい人間とは限らないようですな。
……でも、しゃくだけど、
検証結果1 : ニューシネマパラダイスはいい。 僕も好き。
ケース2 : アルバイトの後輩M氏の場合
彼も同じバイトの人間である。
偏差値の高い大学に通っていたから、お勉強は得意な方だろう。
彼は少し妙な感覚の持ち主で、服や靴、持ち物まで、すべて紫色の物を身につけていた。
はっきり言って悪趣味である。
加えて、彼は話の内容も人と合わないことが多いらしく、特異な外見との相乗効果で、職場の人間には敬遠されていたようである。
そのM氏が泣けた映画は 『 ニュー・シネマ・パラダイス 』 ( 2時間バージョン )。
* 『 ニュー・シネマ・パラダイス
』
どんな映画関係のアンケートでも、「 泣ける映画 」の筆頭にあがる名作。 ワシも泣けた。
監督は ムニャッヘ・ムニャムニャ……。 (うろ覚え)
ワシの泣けるシーンその2は、主人公トトが中年になって故郷に帰ってきた後。
映画序盤で若く美しかったトトの母親は、もうおばあちゃんである。
なつかしい我が家に戻ったトトは、年老いた母親とシンミリ話をする。 そのシーン。
母親が 息子が出ていってからの心境 を語るシーンになるともう……。
涙で画面が見えません……。 ……メソメソ。 ……スンスン。
ちなみにこのシーン、2時間版では収録されてなかったような気がするんだけど。 記憶違いかな?
( 2時間版は1回しか観てないからなぁ。 だっていまいちなんだもん )
この映画のラストシーンは有名で、本編を観たことがない人もラストだけ知ってたりする。
が、ワシ的にはあまり泣けないな、あのラスト。
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この映画、ビデオでは 「 3時間完全版 」 と 「 2時間版 」 が発売されている。
僕の場合、「 2時間版 」 を観ても涙腺はウンともスンともいわないのだが、「 3時間版 」を観ると必ず泣ける。
M氏の場合は逆だそうで、彼によると 「 3時間版は全然だめ 」 だそうだ。
その理由を要約すると……まあ細かいことは忘れたが……
「 3時間版は余計なところまで描写されている 」
という話だったと思う。
とにかく彼は、自分の考えを的確な表現で説明してくれた。
( 悪趣味ヤローってイメージしか無かったけど、観るとこ観てるなぁ )
と感心した覚えがある。
感性は十人十色。 不思議なものである。
同じ物語でも、フィルムの切り方で全く違う作品になる。
同じ作品でも、観る側の切り口によって全く違う作品になる。
検証結果2 : でも僕は3時間版がいいと思うんだけどね。
そもそも 「 人が映画で泣く理由 」 というものが漠然としすぎている。
確かに 「 このシーンの、この人物の心理描写が泣ける 」 と明確に説明できる感動シーンならば、あとは観る側の人生経験や涙腺の弱さ次第である。
しかし、人は得てして、他人の理解を超えた基準で泣いたりする。
ケース3 : 幼なじみT氏の場合
僕の友人T氏が泣ける映画は 『 となりのトトロ 』 だそうだ。
( 全編に流れるあの懐かしい雰囲気と、そこに生きる登場人物達の純粋な思いがTの涙を誘うのか…… )
と思ったのだが、説明を聞いたら違った。
Tによれば、彼が泣けるシーンは、 「 猫バスが登場する場面 」 だと言うのだ。
「 猫バスがドドオォーッと走ってくるっしょ? 涙がブワァーーッとさあ…… 」
「 ……う〜む 」
残念ながら、理解できん。
君の涙の★その理由 が理解できん!
なぜネコのバケモンが走ると泣けるのか?
っていうか、 トトロ や マックロクロスケ の登場シーンじゃダメなのか?
* 猫バス ・ トトロ
・ マックロクロスケ
『 となりのトトロ 』 に登場するバケモン。 結構カワイイ。
つい最近、友人と吉祥寺を歩いていたら、「 トトロのぬいぐるみ入荷 」 と張り紙をしている店があった。
「 いまさらトトロ入荷もねえだろ 」 と友人と話し合ったのだが、張り紙の自信ありげな文面から察するに、意外と商売は成り立つのかも知れない。
……トトロ人気、あなどりがたし。
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「 なぜそんなシーンで泣けるの? 」 というのは、結局、愚問なのであろう。
「 泣ける名場面 」 というものは、陳腐な理論など及びもしない領域に確立される、刹那の芸術なのである。
波長の合う人間のみに共鳴する、繊細な芸術なのだ。 たぶん。
言葉では語りえない、人それぞれの思いを写す鏡。
……それが映画なのだ。
検証結果3 : ところでオレは 『 魔女の宅急便 』 の方が好き。
分かりやすい感動的なシーンで泣けるかどうか。 当然それも、観る側に左右される。
ケース4 : アルバイトの先輩K氏の場合
バイト先の先輩K氏 ( 前述とは別の人物 ) の泣き映画は 『 髪結いの亭主 』 だそうだ。
ジャン・ロシュフォールがヒョコヒョコ踊るシーンでボロボロに泣けるらしい。
このシーンは物語の流れ的に言うと非常にせつない場面である。
誰にでもわかる 「 悲しい描写 」 だ。
この映画で泣くのは納得がいく。
……が、僕はこのシーンでは泣かなかった。
まあ、万人が泣く映画などあるわけじゃないし、当然と言えば当然なのだが……。
* 『 髪結いの亭主 』
パトリス・ルコント監督の映画。 主演はジャン・ロシュフォール。
この監督の作品に関して言うと、個人的には 『 仕立て屋の恋 』 の方が好きだなぁ。
ジャン・ロシュフォールはヒゲのおっさん。 いい味だしてて、ルコント作品にはよく出ている。
彼主演の 『 めぐり逢ったが運のつき 』 ( ←ルコント作品じゃないけど ) っていうフランスのコメディ映画はかなり楽しめます。
フランスにもふざけたことを考える人がいるんですね。 ( ←あたりまえ )
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このK先輩は本物の映画通で、僕に分からないことがあると何でも教えてくれた。
( それでもゴダール映画の良さについては、僕は最後まで理解できませんでしたけど )
次にどんな映画を観ようか迷うと、よくK先輩に相談したものである。
僕にとって意外だったのは、映画に精通した人間が、とても分かりやすいシーンで泣くということだった。
映画通だからといって、小難しい文芸作品で泣いたりするわけじゃないのだね。
難しい理論を語るような人でも、「 泣き映画 」 の前では素直に泣くってことが、本当は当たり前のことなのだろうけど、すごく意外で面白く感じられた。
検証結果4 : 俺は泣かないけど……ルコントはいいよな。
というわけで、全く検証になってない検証を続けてきたわけですが。
ひとつだけ本当に分かったというか、再認識したことは
「 映画の話をしていると、どうしても自分の好みを語りたくなる 」
ってことですね。
良い映画は 「 感情の根底部分 」 に、巧みに働きかけてきます。
心の奥に響くから、何故泣けるか説明できなかったりして。
無理に言葉にすると安っぽい表現しかできなかったりね。
それでも 「 良い映画を観た 」 って気持ちだけは残る。
その気持ちをどうにか伝えようと懸命になる。
……だから世の中に 「 自分の好きな映画の紹介 」 が氾濫するのかも知れんね。
好きな映画の紹介に終始する心意気も、まぁ大事なのかも知れんよ。
それで、本当に自分の感動を人に伝えられたら、
そこまでいかなくとも、同じ映画を観た人と感動を共有できたら、
そういう文章を書けるヤツってすごい! と思うよ。
なんか最初に言ったことと違うけどな。 喝いれるんじゃなかったんか。
ああ、映画はいいね。
僕も恥ずかしながら語りたいんだよ、ホントは。
次回は僕の好きな映画の紹介に挑戦しようかな……。
( 今回の話は、後編で心置きなく好きな映画を語るための前振りだったのです。 スミマセン )
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